これに対して、唯一絶対の神というのは比較的新しく日本語に入った考え方で、恐らく明治以降にキリスト教が本格的に日本に紹介されるようになってから日本語の中に根付いたのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、日本語で「神」という言葉がさす内容が多岐にわたっているため、日本語の神という言葉をそのままGodなどの外国語の単語に当てはめてしまうことによって、誤解が生じることがあります。
イスラームは「唯一絶対神」がどのような存在であるのか、人間に分かりうる範囲内で理解・説明するべく、長年にわたって努力してきました。
イスラームが理解している「唯一絶対神」の考え方を、日本語の神という言葉と比較してみることは、日本語の神という言葉をより深く理解するためにも有益でしょうし、外国との付き合いが増えている中でいわゆる「一神教世界」*1での神概念をよりよく理解するためにも役立つのではないでしょうか。
(K.S.)
*1一神教世界(Monotheistic World)という言葉は英語やアラビア語ではあまり使われない表現です。一神教という用語の問題点については小原 克博、中田 考、手島 勲矢 『原理主義から世界の動きが見える』 PHP新書、2006年を参照。