使徒と預言者

使徒と預言者*1

 アラビア語では預言者を「ナビー」(نبي)と呼び、使徒を「ラスール」(رسول)と呼び、両者を使い分けます。

 預言者(ナビー)の語源は、ナバア(naba’ نبأ)というアラビア語だというのが一般的な説です。ナバアという言葉はクルアーンの第78章2節*2に出てきますが、現在までに四つある邦訳では「知らせ」、「音信」、「消息」とそれぞれ訳されています。

 アッラーによってナバアを伝えられた人物、それが預言者になります。

 次に使徒ですが、広辞苑第6版(DVD-ROM版)では

しと【使徒】(Apostles)

イエス=キリストが福音を伝えるために特に選んだ12人の弟子。(中略)。十二使徒。

と記されています。

 これに対して、イスラームの文脈で単に「使徒」といった場合には通常は「神の使徒 ラスール・ッラー رسول الله」を意味します。この点、キリスト教の文脈で使われる「使徒」とは違いますので注意が必要です。

 イスラームでは、「預言者」と「使徒」はかなり似通った存在なのです。なお、イスラームの文脈を離れた場合、ラスールというアラビア語の単語は使者、使いの者、という意味において日常的にも使われます*3

(K.S.)


*1

عمر سليمان الأشقر، الرسل و الرسالات، كويت، 1989، ص 13-15

*2

عَمَّ يَتَسَاءَلُونَ عَنِ النَّبَإِ الْعَظِيمِ (النبأ، 1-2)

*3

عمر سليمان الأشقر، الرسل و الرسالات، كويت، 1989، ص 13

الإرسال في اللغة التوجيه، فإذا بعثت شخصا في مهمة فهو رسولك.