広辞苑の説明する啓典

 一般には「けいてん」という言葉で連想されるのは「経典」でしょう。岩波書店広辞苑 第六版 DVD-ROM版では

けいてん【経典】

(「経」は永久に変わらない道の意)聖人・賢人の書き表した書。経書。

きょうてん【経典】

教徒の信ずべき信仰内容や守るべき信仰生活の訓戒・規範を示した文献。仏教の教義の典拠となる書籍、キリスト教の聖書、イスラム教のコーランの類。

と説明しています。

 それに比べて、啓典というとあまり耳慣れない言葉ですが、同じ広辞苑の第六版 DVD-ROMには、

けいてん【啓典】

唯一至高の神の啓示を記した書。コーラン、モーセ五書、詩篇、福音書など。

けいてんのたみ【啓典の民】

啓典を信ずる民。コーランによれば、トーラーをもつユダヤ教徒、福音書をもつキリスト教徒がこれに含まれ、ムスリムと本質的に同じ信仰の持主とされる。

と書かれています。

 広辞苑の中の「啓典」という項目が、イスラームの言う「啓典」を念頭において記述されたことはほぼ間違いないと思います。

 以下では、イスラームの啓典について説明してみます。

(K.S.)