モスク、その語源

 モスクのことをアラビア語ではマスジド(مسجد)といいます。アラビア語には語根というものがあり、その語根から様々な言葉が派生します。マスジドという言葉の語根はS J Dです。サジャダ(sajada)といえば動詞になり、額ずくという意味です。額ずくといっても今はあまり使わない言葉かもしれませんが、「ぬかずく【額衝く・叩頭く】(額を突く意)ひたいを地につけて拝礼する。【岩波書店広辞苑 第六版 DVD-ROM版】」という意味です。

 額を地につけるためには、跪く(ひざまずく)必要があります。跪くとは、「ひざまずく…膝を下につけてかがむ。臀(しり)をあげ両膝を地についてかがまる。深い敬意や屈服の意を示す動作。【岩波書店広辞苑 第六版 DVD-ROM版】」のことで、平伏する、ひれふす、といった言葉とも共通します。このように、額を地につけて畏(かしこ)まること、跪拝(きはい)することをサジャダといいます。

 マスジド(masjid مسجد)とは、サジャダ(sajada سجد)する場所、つまり額ずく場所、跪拝する場所という意味です。これが転訛してモスク(mosque)となりました。

(K.S.)