制作地 | 時代 | 彩画 / 色彩 |
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イラク | 9世紀頃 | 植物、抽象/多色 |
エジプト | 10世紀末以降 | 動物、人物/単色(10世紀以降) |
スペイン、ラッカ(シリア)、カーシャーン(イラン) | 12世紀後半以降 | |
特徴など: 金属のような光沢が特徴的な焼き物。ラスター(luster)とは、「光沢」「輝き」を意味する英語。絵具中に酸化銀や酸化銅を用い、酸化還元反応を起こさせるため、二度の焼成が必要とされる*1。これは「水に浮かべた油滴が広がって薄い皮膜となり虹色に見えるのと同じ原理」*2によるもの。これにより、淡金色から深紅色が得られ、それが光の当たり具合によって変色現象を起こす*3。イスラームでは金銀食器の生産が禁止され、その代用品として考案されたといわれる*4。なお、金銀食器の利用禁止はイスラーム法の規定に基づくもの。 |
*1 ↑ 桝屋友子「ラスター彩陶器」『岩波イスラーム辞典』、桝屋友子『すぐわかるイスラームの美術』東京美術、2009年、114-15頁。
*2 ↑ 世界のタイル博物館編『世界の装飾タイル』青幻舎、2007年、27頁。
*3 ↑ G. Marçais, “Fakhkhār”, EI2, II, p.745.
*4 ↑ 鈴木博之ほか『ディテールがつくる風景』INAX出版、1997年、26頁。