ムスリムは世界の各地に広がっています。西はモロッコから、東はインドネシアまでムスリムが多数派を占める地域は広範囲に存在します。
それらの地域の料理に特に共通した特徴が有るわけではありません。もちろん、豚を使わないといった共通項はありますが、食事の基本は「自由」ですので、禁じられた食材等を用いない限りは各地の植生、歴史、伝統を生かした料理が各地に存在します。
アラブ料理一つを取ってみても、モロッコ、エジプト、シリア、サウディアラビア、イエメンの料理はそれぞれに異なっています。
モロッコではクスクスが有名です。エジプト料理ではモロヘイヤのスープが美味しかった記憶があります。シリアでは料理にヨーグルトを使いますが、これはおそらくトルコの影響でしょう。サウディアラビアではカブサと呼ばれる鳥の炊き込みご飯が良く振舞われます。イエメンの料理は、かつてのインド洋貿易の影響なのか、他のアラブ諸国の料理よりもスパイスが効いているように思います。
イラン料理はアラブ料理に似ている部分もありますが、日本人にとってより馴染み易いかもしれません。
インド亜大陸に行けば、ムスリムもカレー中心の食事をしていますし、日本にもパキスタン・カレーやバングラデシュ・カレー、スリランカ・カレーのお店があります。
辛いといえば、中国の北の方に住むムスリムはかなり辛い料理を作ります。
マレーシアやインドネシアの料理も辛い料理がありますが、日本人にとって懐かしいような味の食べ物も豊富なように思います。
トルコは食に対する意識が全体的に高い上に、西洋とも歴史的・地理的に近いせいか、日本人にもなじみやすい料理が多いと思います。
なお、筆者は食に対してはかなり保守的ですので、その点を差し引いてお読みいただければありがたいです。
(K.S.)