4.30章39節

a.【岩波版】
 お前たち、他人の財産で得とろうとて利息つきで貸付けしても、そのようなものはアッラーのもとでは全然殖えはせぬ。

b.【中公版】
 おまえたち、高利貸を行なえば、財産をふやすことはできても、神のみもとでは、そのためになにもふえはしない。

c.【ムスリム協会版】
 あなたがたが利殖のために、高利(※脚注)で人に貸し与えても、アッラーの許では、何も増えない。
 ※高利〔リバー〕は、不法な手段、すなわち贈賄、買占めその他不正の取引などによる利益をさす。

d.【黎明版】
 また、おまえたちが利子として ─それが人々の財産において増殖する(利殖となる)ようにと─ 与えるもの(貸付金)(※脚注)、それはアッラーの御許では増殖しない(利殖とならない)。
 ※「利息(リバー)」の語義は「増殖」である。

e.【比較】
(1)【岩波版】が「リバー」を「利息」と訳しているのに対し、【中公版】【ムスリム協会版】では「高利」と訳されている。「リバー」は語義として必ずしも「高利」に限られるわけではないので、【岩波版】と同様に「利子」との訳語を採った。
(2)「利子」と「増殖する」が r-b-w の語根から生じており、原文ではこれら単語同士の意味や音韻上の繋がりが強いため、【黎明版】では脚注を加えた。