キリスト教で用いられているアラビア語聖書では、アッラーという言葉が唯一神を指す言葉として使われています。
まず、下の図は創世記の一番最初の部分です。赤丸で囲まれた部分が、アッラーという文字です*1。
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次に、下の図はマタイによる福音書の
「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。この名は、「神は我々と共におられる」という意味である。(マタイによる福音書、1章23節、日本聖書協会『聖書新共同訳』より*2)
にある神という言葉がアッラーと記されている部分です。
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このように、現代のアラブのキリスト教の文脈でアッラーという言葉は一般的に使われています。その歴史は古いようで、たとえば「キリスト教の教義をアラビア語で表現し、本格的な著述を残した神学者の最初の世代に属する」*3テオドロス・アブー・クッラ(正教会)のアラビア語著作のタイトルにはアッラーという言葉が用いられているようです*4。
*1 ↑ 中東聖書館(دار الكتاب المقدس في الشرق الأوسط)発行の聖書より
*2 ↑ 検索には、http://www.bible.or.jp/vers_search/vers_search.cgi を利用した。
*3 ↑ 若林啓史『聖像画論争とイスラーム』知泉書館、2003年、3頁。
*4 ↑ 若林啓史「アブークッラの著作一覧」『聖像画論争とイスラーム』知泉書館、2003年を参照。