第2の見解(アッラーフという言葉が固有名詞であるとの見解)。アッ=シャーフィイーやアブー・アル=マアーリー(アル=ジュワイニー)*1、アル=ハッタービー*2、アル=ガザーリー、アル=ムファッダル*3等学者達の一団は、この見解に至っている*4。
アル=ハリールとシーバワイヒから伝えられるところでは、al-|ال، الألف واللام はそれ(Allāhという名前)にとって不可欠であり、取り除くことは出来ない*5。
アル=ハッタービーは次のように言う。「alはこの名前(Allāh)にとって骨組みの一部であり、定形名詞化するために付け加えられたのではないとの根拠は、呼びかけの不変化詞(間投詞)がその前に置かれることである。例えば、(アラビア語話者である)あなたがヤー・アッラーフ(yā allāhu|يا الله)と言うように。
そして、呼びかけの不変化詞(間投詞)は定冠詞のalと隣接することはできない。あなたも、「ヤー・アッラーフ」と言うのに対し、「ヤー・アッ=ラフマーン」や「ヤー・アッ=ラヒーム」とは言わないように。これにより(aとlの)両者がこの名前(Allāh)の骨組みの一部であることが例証された」。アッラーフこそ最もよくご存じである*6。
以上のクルトゥビーの議論は、以下の表のとおり纏められます。
アッラーフという名前の起源・諸説分類(クルトゥビー) | |||
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説 |
アラビア語表記 |
根拠や意味 |
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派生名詞説 |
イラーフ |
إلاه |
シーバワイヒの見解 |
lāha |
لاه |
シーバワイヒの伝える異説 |
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waliha |
وَلِهَ |
思い惑う |
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yata’allafu ‘ilā |
يتألَّف إلى |
熱望する |
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lāha |
لاه |
高遠 |
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‘alaha/ta’allaha |
أَلَهَ/تَأَلَّهَ |
崇拝/敬神 |
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hu |
ه، الهاء |
【彼】 |
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固有名詞説 |
موضوع للذات علم |
(1)シャーフィイー、ジュワイニー、ハッタービー、ガザーリー、 (2)Allāhから定冠詞のalを取り除くことは出来ない( (3)alはAllāhという単語の骨組みの一部( |
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[出典]クルトゥビーの注釈書をもとに筆者作成 |
*1 ↑ アブド・アル=マリク・アル=ジュワイニー、通称イマーム・アル=ハラマイン。生年:419(1028)、没年:478(1085)。ガザーリーは彼の弟子に当たる。
*2 ↑ ハムドゥ・ブン・ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アル=ハッタービー。生年:319(931)、没年:388(998)。
*3 ↑ ムファッダル・ブン・サルマ・ブン・アースィム・アッ=ダビー・アル=クーフィー。没年:不詳、290(903)年時点では生存。
*4 ↑
*5 ↑
*6 ↑