次に、基礎文法をしっかりと修める必要があります。アラビア語の文法はやはり難しいですし、日本人には全くなじみがありません。例えば、日本国外務省では新入Ⅰ種職員及び専門職員に対する在外研修制度がありますが、専門職員研修語のうち3年間の研修期間を設けているのは計41ヵ国語のうち、唯一アラビア語のみです1(平成19年2月現在)。
また、ロバート・ラトクリフによれば、
統語的にはアラビア語は一貫したVSO言語であって、普通の語順は日本語やトルコ語とは完全に異なり、主語と目的語は動詞の後、形容詞、関係節は名詞の後に来る(ロバート・ラトクリフ「アラビア語」『岩波イスラーム辞典』)。
となっており、やはり日本語との違いが大きい言語です。動詞が一番最初に来る、というのが最初は困惑します。また、常に名詞が形容詞よりも先に来る、というのも慣れるまでに時間がかかります。
難しいからにはなかなか進歩しなくても仕方がない、というゆったりとした大きな気持ちで望むことも必要かもしれません。基礎文法に習熟するためには、繰り返しが必要になってきます。基本文法を使った簡単な文章が口から自然に出るようになれば、しめたものです。この時期の学習を、集中的にできれば後々楽になってきます。
文法の中でも難しいのは、(1)派生形、(2)格変化で、これがつまずきの原因ではないでしょうか。(1)の派生形に習熟することが最も重要かつ困難です。派生形に慣れてしまえば、語根を覚えることによって言葉の意味が大まかにつかめるので、最初は困難ですが後から少しずつ楽になる言語かもしれません。逆に、派生形の仕組みが分からなければ辞書を引くことすら儘(まま)ならないことになります。
(K.S.)
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/annai/saiyo/gaikokan/gpass_6.html