ザカートが義務であるのに対し、任意で支払われる喜捨も存在します。任意の喜捨はイスラーム法学(フィクフ)においては「サダカ」と呼ばれます*1。
現代では、一般的にサダカといえば任意の喜捨を指し、ザカートといえば義務の喜捨を指します。
元々は、クルアーン(コーラン)やハディース(預言者の言行録)において、「サダカ」という言葉は、(1)任意の喜捨として使われている時もあれば、(2)義務の喜捨として使われている時もあります。というのも、歴史的には初めに任意の喜捨が、その後に任意の喜捨が成立したからです。従って、クルアーン注釈書などでは「ここでのサダカとは義務のサダカを意味する」としたり「ここでのサダカとは任意のサダカを意味する」などの表現を使って、両者を区別しています。
以下ではクウェートのワクフ省*2が発行しておりサウディアラビアのワクフ省ホームページにも掲載されている*3『イスラーム法学百科事典』のザカートの項目を元にして、イスラームの考えるザカートを説明してゆきたいと思います。
*1 ↑
و الغالب عند الفقهاء: استعمال هذه الكلمة في صدقة التطوع خاصة. يقول الشربيني: صدقة التطوع هي المرادة عند الإطلاق غالبا.
*2 ↑ http://islam.gov.kw/site/books_lib/list.php?cat=1
*3 ↑ http://feqh.al-islam.com/Bookhier.asp?Mode=0&DocID=100&MaksamID=1