クルアーンはアラビア語で書かれており、礼拝などの宗教儀礼において読誦(どくしょう)されます。この読誦はアラビア語にて行われるのが原則です。例えば、他の言語に翻訳されたクルアーンを礼拝中に読誦するということは行われません。他の言語に翻訳されたものは、啓典とはみなされないのです。したがって、礼拝中に日本語訳のクルアーンが読誦される、ということもありません。
したがって、日本語訳のクルアーンはクルアーンの意味を説明した参考図書といった扱いを受けることになります。すでに、日本にはアラビア語からのクルアーン翻訳が4冊もあります。どの翻訳も訳者が丹精込めて作り上げたものですが、ここではそれらの比較を行いたいと思います。
現在までに、以下の4冊が日本語訳のクルアーンとして出版されています。
- 井筒 俊彦訳 『コーラン』 岩波文庫、1964年、全3巻
- 藤本 勝次、伴 康哉、池田 修訳 『コーラン』 中公クラシックス、2002年、全2巻
- 三田 了一訳 『聖クルアーン』 日本ムスリム協会、1982年、全1巻
- 中田 香織訳 『タフスィール・アル=ジャラーライン』 日本サウディアラビア協会、2002-06年、全3巻、日本ムスリム協会頒布
上記の(1)と(2)は書店で注文可能です。
また、(3)と(4)は日本ムスリム協会のウェブサイトの書籍販売のページに記載のあるとおり、同協会から購入可能です。なお、連絡先等は、こちらに記載されています。
(4)はクルアーン(コーラン)の注釈書なので、クルアーンの本文の翻訳とその注釈が記載されています。なお、タフスィールとはクルアーン注釈(書)のことです。
(K.S.)